大学生などの学生が起業を目指す場合には、起業に必要なものをしっかりと準備しておくことが大切です。
インターネットを活用して情報収集しただけでは、不十分でしょう。
本記事では、学生が起業する上で必要なものや起業の手順について紹介していきます。
起業後に必要なものもしっかりとチェックして、学生起業を成功させましょう。
学生が起業する上で必要なもの
まずは、学生が起業する上で必要なものについて説明していきます。
大学生などの学生は起業に関するノウハウや知識がないので、起業する前にインターネットなどを活用して情報収集をしましょう。
様々な情報を得た上で、自分の起業に必要な情報と不要な情報を取捨選択することも大切です。
ここでは、大学生で起業する場合に「共通で準備するもの」と「個人事業主の場合」「会社設立の場合」に分けてご紹介します。
共通で準備するもの
まずは共通で準備するものを見ていきましょう。
事業計画
起業で成功するためには、「事業計画」をしっかりと立てることが大切です。
事業計画とは、どのような顧客に向けてどのような事業を展開するのかといった計画です。
起業する事業内容をわかりやすく人に伝えるためのものでもあります。
事業計画は事業の達成目的、目標、達成する計画・過程を示した公式のステートメントまたはその文書のこと。その目的を達成しようとする組織の概要や背景、 戦略などの情報を含む場合もある。
「ビジネスプラン」とも呼ばれる。企業の計画のみならず、国や行政機関、教育機関、非営利団体の事業についても使用される。
起業する前に、事業を成功させるための戦略をしっかりと立てておくことが大切なのです。
また、事業計画とともに、提供する予定のサービスや商品の詳細もしっかりと固めておく必要があります。
例えば、ウェブサービスを展開しようと考えている場合には、ウェブサイトのイメージなども考えておくと、事業をスムーズに展開することができます。
資格取得
起業を考えている事業に有効な資格は、起業前に取得しておくのがおすすめです。
資格がなくても起業できる事業は多くありますが、資格を持つことで信頼度が増し、起業後のPRや集客にも役立つメリットがあります。
資格があるから必ずしも成功するとは限りませんが、資格があることが有効に作用する事業を立ち上げる場合には、資格を取っておいた方が成功率は高まるでしょう。
ここでは、起業に有効な資格である「中小企業診断士」について紹介しておきます。
中小企業診断士
起業前の取得におすすめしたい資格として「中小企業診断士」があります。
合格率は20%前後です。
中小企業診断士という資格は、会社経営に関する知識を横断的に習得できる資格なので、起業だけでなく転職や就職にも有利になります。
どんな事業で起業する場合でも役立つ資格と言えます。
中小企業診断士とは、中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則に基づき登録された者を指す。この省令の根拠となる中小企業支援法では「中小企業の経営診断の業務に従事する者」とされる。
中小企業診断士になるためには
中小企業診断士を1年で取得するためには、1週間で20時間程度の勉強が必要になります。
例えば、平日5日は2時間+土日は1日5時間程度の勉強時間を確保する必要があるため、働きながら資格取得を目指す場合には、かなりの努力が必要です。
大学生は社会人に比べて自由になる時間が多いので、資格取得を考えているのであれば、大学在学中に行動に移しましょう。
個人事業主の場合
次に、個人事業主として起業する場合に必要なものを見ていきましょう。
個人事業主は、気楽にスタートできるというイメージが強いですが、何も準備せずに始めてしまうのは危険です。
会社設立に比べると用意するものが少ないのは事実ですが、起業についての知識を深めておくことは必要不可欠と言えます。
ビジネススクールで学ぶ
起業についての知識を深める方法のひとつに「ビジネススクールで学ぶ」という方法があります。
起業については独学でもある程度学ぶことができます。
しかし、独学で学ぶことに限界を感じているのであれば、ビジネススクールを活用しましょう。
ビジネススクールは、起業に必要な知識や技術をピンポイントでしっかりと学ぶことができるメリットがあります。
IT関連での起業を目指しているのであれば、プログラミングスクールもおすすめです。
資金的な問題でビジネススクールに行くことができない場合は、大学で経営に関する講義を選択してみるといいでしょう。
学生起業を目指しているのであれば、時間を有効に活用していきましょう。
起業サークルに参加
起業についての知識を深める方法として「起業サークルに参加する」のもおすすめです。
起業サークルには、起業を目指している人たちが集まっています。
起業という同じ目的を持っている人が集まることで、お互いにとって良い刺激になるだけでなく、ネットワークも広がるメリットもあります。
様々な起業サークルがあるので、自分に合う起業サークルを見つけて参加してみましょう。
ビジネスコンテスト
ビジネスコンテストに参加して、自分の考えたビジネスプランを評価してもらうのもおすすめです。
現役の起業家やビジネスマンが審査員になっている場合が多いので、現実的に通用するのかどうかを試す良いきっかけにもなります。
また、様々な意見を聞くことができ、ネットワークが広がるのも魅力です。
さらに、優勝・入賞することができれば、賞金の獲得やオフィススペースの貸与、スポンサー契約と言った起業する上でも大きなメリットがあります。
会社設立の場合
最後に、会社を設立する場合に必要なものについても説明していきます。
会社を設立する上で最も必要なものは会社の設立資金です。
起業する上では、会社の資本金や登録免許税、定款認証料など資金調達について、しっかりと考える必要があります。
設立資金
会社を起業するためには設立資金が必要不可欠です。
自己資金としては、数十万円程度は貯めておく必要があります。
起業する内容によっては、多額の資金がかかる場合もあるので、その場合には資金調達が必要です。
資金調達が難しい場合には、初期コストが比較的少なめなIT関連での起業を考えてみましょう。
ただし、資金ゼロで会社を設立することはできません。
最低でも数十万円は貯める意識が必要です。
自己資金のみでの起業が難しい場合には、家族や友人など周りの人たちから資金援助を受ける方法もあります。
金融機関での借入を行う場合には、返済期日や利息をしっかり意識する必要があることと、銀行カードローンなどは審査が厳しく容易には審査にパス出来ないことも覚えておきましょう。
クラウドファウンディングを活用して、事業内容やアイデアに賛同した不特定多数の投資家から資金を調達する方法もあります。
画期的アイデアなら、理想通りの資金調達が実現できるかもしれません。
また、資金調達の方法には、起業を応援する団体や企業、補助金や助成金を活用する方法もあります。
資金調達の方法には様々な選択肢があるので、しっかりと情報収集を行った上で自分に合った方法を見つけましょう。
印鑑
会社を設立する場合には、会社で使用する印鑑を事前に準備しておきましょう。
すでに個人で使用する印鑑は持っているはずですが、会社の印鑑とは分けるのが基本です。
実印や角印などの正式な印鑑に加えて、銀行員も用意しておくのがおすすめです。
学生が起業する為の手順
ここからは、大学生などの学生が起業するための手順について説明していきます。
起業する場合には、必ずしも会社を設立する必要はありません。
個人事業主として起業する方法もあります。
個人事業主として起業する場合
個人事業主として起業する際の手順は次の通りです。
- 屋号を決定
- 開業届出書の提出
- 事業スタート
開業届とは、個人事業の開業を税務署に申告する書類のことです。
個人事業をスタートすると、銀行口座の開設やクレジットカード契約、オフィスの賃貸契約などいろいろなシーンで開業届の控えが求められることがあります。
青色申告は、節税効果を期待することができますが、その手続きでも、開業届の提出が必要です。
開業届と同時に、青色申告承認申請書も提出しておきましょう。
個人事業で青色申告する場合には、赤字の繰り越しが3年までというデメリットもあります。
また、気軽にスタートすることができる反面、社会的信用が低いというデメリットもあります。
さらに、必要経費として認められる範囲が狭いのもデメリットです。
気軽に起業できる個人事業主ですが、デメリットもあることを理解した上で選択するようにしましょう。
法人化して起業する場合
法人化して起業する場合には、次の4つの選択肢があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
現在は「合名会社」や「合資会社」で起業するという人はほとんどいません。
やはり「株式会社」での起業が最も一般的です。
「合同会社」は、新しいタイプの会社スタイルで、利益分配がしやすいなどのメリットがあります。
少人数で運営するという場合には向いています。
合同会社は株式会社に比べて設立に掛かる費用も少なく抑えることができますが、社会的信用という意味では株式会社の方が上です。
必要な資金
現在では、資本金は1円でも株式会社を作ることが可能です。
ただし、株式会社で起業する場合には、最低でも24万2000円の開業資金が必要です。
- 公証人手数料:5万円
- 定款印紙代:4万円(電子定款認証の場合は0円)
- 登録免許税:15万円(最低金額)
- 定款謄本代:約2,000円
株式会社よりも低コストで起業できる合同会社の場合は、合計10万2,000円の開業資金が必要です。
- 公証人手数料:不要
- 定款印紙代:4万円(電子定款認証の場合は0円)
- 登録免許税:6万円(最低金額)
- 定款謄本代:約2,000円
電子定款認証の場合、印紙代の4万円は必要がありません。
資金の他に必要なもの
資金の他に必要なものは、次の通りです。
- 商号
- 本店所在地
- 株主
- 印鑑
- 設立費用
- 定款(会社の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについて明記した文書)
会社を設立する場合は、法務局に登記する必要があり、登記するには定款の提出が必要です。
定款は、公証役場でその定款が正しく作成されたことを証明してもらう必要が出てきます。
会社の登記に必要なもの
登記に必要なものは次の通りです。
- 登記申請書
- 発起人の決定書
- 資本金の払込証明書
- 登録免許税貼付用台紙
- 定款
- 役員の就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書
必要なものをしっかりと用意して、会社設立を進めていきましょう。
学生が起業後に必要なもの
登記したら事業スタートとなりますが、まだまだ必要なものや、やらなければいけないことがあります。
各種届出の提出
起業後に必要なこととして「各種届出の提出」があります。
株式会社として登記
株式会社として登記した後には、税務署や労働基準監督署などに各種届出の提出が必要です。
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
他にも、次の届け出が必要となります。
- 労働保険 保険関係成立届
- 労働保険 概算保険料申告書
- 雇用保険 適用事業所設置届
- 雇用保険 被保険者資格取得届
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険 被扶養者(異動)届
スタッフの雇用を考えている場合には、保険関連の手続きも必要です。
合同会社として登記
合同会社として登記する場合は下記の提出が必要です。
- 登記申請書
- 代表社員の印鑑証明書
- 資本金が振り込まれたことを証明する払込証明書
- 印鑑届書
- 定款
代表社員就任承諾書、本店所在地決定書、資本金決定書が要求されることもあるので覚えておきましょう。
運営資金
起業後には、事業を継続させるための運営資金も必要です。
起業してすぐは、なかなか利益が出ない場合も多いので、運営資金についてもしっかりと計画を立ててく必要があります。
万が一、運営資金が足りず融資を頼みたいと思っても、起業間もない会社に簡単にお金を貸してくれる金融機関は少ないでしょう。
融資を受けるためには、事業を継続して信用を積み重ねる必要がありますが、そのためには何年もの時間が必要になります。
そういった場合には、信用保証協会が保証してくれる制度融資を活用するのがおすすめです。
信用保証協会は信用保証協会法によって設立される認可法人で、法人税法別表第2に掲げる公益法人等である。中小企業が市中金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することで、中小企業の資金繰りの円滑化を図ることを目的としている。
このような保証を受けることができれば、民間金融機関からの融資もハードルを低くすることができます。
信用保証協会が全国の51エリア(47都道府県と横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあるので、融資を考えている場合は、一度相談してみましょう。
あなたの起業を有利にしてくれる制度であることは間違いありません。
学生が起業に必要なものまとめ
本記事では、大学生などの学生が起業する際に必要なものや起業の手順について紹介してきました。
準備不足の状態で慌てて起業してしまうのはリスクが高く危険です。
必要なものをしっかりとチェックし準備した上で起業しましょう。
ただし、起業すること自体は、実は誰でも簡単にできてしまいます。
大事なのは起業してからです。
起業して初めてスタート地点に立ったと考え、実績と信用をコツコツと積み上げていきましょう。